“広島の朝” 原本改訂版 20210803

76年前の今日,午前8時15分…エノラ・ゲイから投下されたリトルボーイと名付けられた
原爆が当時“広島県産業奨励館”の上空580mで爆発した…。
その破壊力は凄まじく半径2kmのありとあらゆるものを破壊し尽くし…そこに生きる者の
殆ど全てを一瞬のうちに焼き払ってしまったといいます。

幸いにもその災禍を免れ…逃げまどう人々を再び襲ったものがある…広島の地形が招いた
第2の災禍…広島を囲うように聳(そび)える茶臼山武田山、向山という山によって
跳ね返された原爆の爆風と熱風が再び瀕死の街を襲い…その凄惨なる地獄絵図は殆ど一瞬
のうちに完成させられてしまった…。

8時15分と言えば当時を知る由もない私が考えても戦時中とはいえ…朝餉(あさげ)が終わり,
子供達は夏休み…父親は仕事へ…母親は炊事に洗濯という8月の暑い一日が始まった
ばかりだったはず。 町の角には人々が行き交い…子供達の明るい声が聞こえ…
親たちの叱る声や赤ん坊の泣き声がきっと響いて…時計の針は今と同じように1秒1秒を
当たり前のように刻み続けていた。  

       カチッ…カチッ…カチッ…カチッ…カチッ…カチッ…カ…








あの日から76年目…記念式典が開催される当時,“広島県産業奨励館”と呼ばれていた現:原爆ドーム

なんて悲しい名称変更なのか…世界中どこを探してもこんな悲しい名称変更された建造物はないでしょう…

きっと…今年も広島の街は朝早くからそのドームへ鎮魂と平和への祈りに向かう人の波で埋め尽くされるのでしょう。





そして…8時15分…
鎮魂と平和祈願の鐘がヒロシマの空に鳴り響き…広島市長の宣言…厳(おごそ)かにしめやかに。。。
コロナ渦の中の今年でも93カ国と欧州連合の代表が,そして世界中からの参列者を迎えるといいます。
世界には未だに,“戦争”や“テロ”そして“民族紛争”が“大義”という名のもと
恒常的に続いています。 そこには私には推し量れない様々な理由があるはず…。
だけど…“繰り返さないで 繰り返さないでね”と祈ること…そして知ること…
誰だって痛みを感じるはずです。 

  胸が押し潰されそうになるぐらいの痛みは…“もう,繰り返さないで”





       私たちはちゃんと見てるのでしょうか?

       私たちはちゃんと歩いて来たのでしょうか?

       私たちはちゃんと歩いて行けるのでしょうか?

       時折、ふと立ち止まって足元や後ろを眺め…そんな事を考えます。





   広島の空はどうですか…晴れ渡っていますか?

   あの日…爆風を跳ね返した広島の山々が…

   今日は…市内に響き渡る平和の鐘の音を…祈りの声を…平和への願いを…

   静かに…静かに…優しく…街の隅々まで…世界の災禍の国・街・町・村まで…

   いつまでも跳ね返していて欲しいと…広島の空に向かい窓を開け…祈ってみようと思います。