“熱いやかん” (原本改訂版)20201206

“昔から人を愛することには自信を持っていた…
でも,人から愛されることに…どうしても自信が持てなかった…”

『人間不信…?!』

誰も,家族も,友達も,同僚も…ましてや他人など…
自分で云うのも変だけど無垢でありすぎた…

あの頃は…
自分を信じ…
他人を信じ…
疑うことを知らず…
気持ちに正直に…
思いやりをもって接していれば…
必ず判ってくれる…
解り合える…
本当に悪い人なんていない…

そんな気持ちでいつも人と接していました。

云われるがままの言葉を信じ…
一生懸命に歩いていた時代でした。

そして…
いろんな事が起こりました。

突き落とされ…
転がり落ち…
やっと立ち上がりかけるとまた…

でも,愚かな私は…
それでも何処かに「きっと判ってくれるはずだ…」

なんて,そんな気持ちを持ち続け…
馬鹿な子だったんです。

孤立し…
誰にも頼れず…
あがき続け…

心の中で…
心が枯れるまで泣き叫んだ…
そんな時代もありました。

『人間不信…』

人が嫌いになり…
世の中が嫌になり…
すべてから解放されたい…

…そうしようと思ったこともありました。


そこからどうやって這い上がってきたのか?


自分でもよく判りません…
這い上がってきているのかさえも…

人間の心や体は本当によくできているものですね。


『淘汰…』


痛みや苦しみは…
それが続けば続くほど…
それをさほど感じなくなるものです。

そして…

さらにひどい痛みや悲しみがそこに降り積もる…

そうすると…

過去のものは痛みから癒しに変わるのです。

自分に対しての癒しであったり…
他人に対しての癒しであったり…

『慈愛…』

…が生まれます。

他人の痛みを自分の痛みに置き換えること…

人を許せること…
思いやること…
いたわりや慈しみ…


ここでまた無垢に戻るんじゃないか?


違います…。

ここで生まれた気持ちは無垢じゃないんです。

きれいなもの…
汚いもの…
美しいもの…
醜いもの…

それらをすべて消化した…
そして昇華したものなんです。

ちょっと判りにくい表現かも知れません。


物事には必ず裏と表…光と影…感情で云えば善し悪し…好きか嫌いか…
文部省の定めた義務教育の過程の中…
日本の封建的且つ閉鎖的な歴史背景に培われた道徳心や価値観…
そんなものが世間一般の通常の判定基準になっています。

そして,必ず人はどちらかを選択しようとします。


無垢な心は幼児のように善し悪しを考えずに“熱いやかん”素手で触ります。
でも…人間不信~淘汰~慈愛と至った心は…“熱いやかん”だと判っている
上でも手を出すんです。




随分前に観た映画…
レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン

…彼もそうでした。
ここで署長を逃がせば,また自分が追われる…
長い逃亡生活が始まる…
そう判っているのに彼を逃がす…
自分の心がそう叫んでいるから…

そこに…

「なぜ?」

…という質問は不要なのです。

エンディングの時に彼は笑っていました…。

抑圧された何十年…
そこからの解放といった気持ちもあるでしょう。

でも…
彼は署長に「死んでくれ」とも云わなかった…

でも…
署長は自らの命を絶った…

そして…
彼も…ジャン・バルジャンも止めなかった。

止める術を持たなかったのですね。

署長が自分の心を“昇華”する方法を…
自殺という形でしかなし得ないことが判ったから…

生きていれば署長はどうしても彼を追い続ける…
それしかできないことを判っていた…

主として二人の人間が…
各々の心を…
インスパイア<昇華>するまでの経緯と…
その答えの出し方が凝縮された映画でした。

この映画を見ている間…
自分の心が騒いでいた…
自分の心が崩れそうになるのを…
誰かに気付かれないようにするのに必死でした…。

 

 




“SNOW FLAKE”

  街の背中に雪が降る 君の涙にも積もるよ
  ひとりきりでは悲しいと 見上げた夜空さ…

夜の隅で夢を話す 君の息は…
壊れやすい氷の花びら

優しさだけで 生きて行けたらいいのに…
君の夢が叶えばいいのに…

君のきれいな心を汚すものから…
守ってあげるよ SNOW FLAKE…


  少女が歌う 賛美歌が この地球(ほし)を埋める…

雪の舗道 立ちすくんだ君の前を…
終わりのないCandleの列さ

あきらめないでどんなに傷を負っても…
夢見ること 愛すること…

教えたいのさ やわらかすぎる心が…
君の誇りだと SNOW FLAKE…


優しさだけで生きて行けたらいいのに…
君の夢が叶えばいいのに…

君のきれいな心を汚すものから…
守ってあげるよ SNOW FLAKE…


                        “SNOW FLAKE”





以前にアップした“リストカット”の続編的な記事になってしまいました。
タイトルの“熱いやかん”を見て…ここまで読んでいただけた方は極々一部だと思います。
それでも…嬉しいです。 読んでくれて…今日も来てくれて…どうもありがとうございます。